2016.09.30

頭皮ケアで薄毛改善! 育毛剤マニュアル

頭皮ケアで薄毛改善! 育毛剤マニュアル

日本人の毛髪は平均して毎日50~70本の髪が抜け、秋になると100~200本も抜けます。これは正常なことなので心配はいりません。ただし、女性は年齢を重ねると1本1本が細くなり、全体的に薄くみえてくる傾向にあります。頭皮や髪の健康を保つには、やはり正しい生活習慣とヘアケアが大切。育毛剤の正しい使い方を学んで、薄毛対策に取り組みましょう!

大切なのは頭皮ケア 女性の髪はお手入れしだい

遺伝的要因が大きい男性の薄毛に比べ、女性の薄毛は、日頃のヘアケアや生活習慣に影響されやすい傾向にあります。ですから、諦めは禁物。お手入れの仕方しだいで、予防・改善がじゅうぶんに可能なのです。

女性の薄毛が始まるのは40歳前後から

女性の薄毛は、一般に女性ホルモンが減少し始める40歳前後から見られます。毛髪の発生に関係している男性ホルモンとのバランスが崩れるためですが、男性の脱毛と比べて、大きな変化はありません。頭頂部などから髪の毛の本数が減り、徐々に細くなるのが特徴で、髪全体のボリュームが減っていきます。

加齢による女性の脱毛症は、育毛剤などのヘアケアや、生活習慣の見直しによって予防・改善できます。男性の薄毛とは原因が異なる(※)ため、女性用の育毛剤を選ぶようにしましょう。女性ホルモン対策には、女性ホルモン用成分を配合したサプリメントの利用もおすすめです。

また、ダイエットによる栄養不足や亜鉛不足、病的な疾患によって脱毛が起こることもあります。

※中年以降の女性では皮脂欠乏症が問題です。一方、男性では皮脂分泌の過剰が脱毛の原因になる可能性があります。

育毛剤でうるおい&栄養補給を

「ずっと使っているのになかなか効果があがらない」という方のなかには、正しい使い方をしていないケースも少なくありません。効果を半減させるような使い方をしていないかどうか、今一度、育毛剤の正しい使い方を見直してみましょう。

正しい育毛剤の使い方

育毛剤の使用は、毎日朝晩の2回が理想的。特に頭皮への血液循環が期待できる就寝時には、育毛剤の効果が発揮されます。また、シャンプーの直後は頭皮が湿っていて育毛剤の成分が薄まるため、頭皮が乾いてから使うようにしてください。

1度に使う育毛剤の量は、少し多いかなと感じるぐらいたっぷりと。気になる部分を中心に、その周辺にも使います。例えば、頭頂部が気になる場合は、帽子をかぶる範囲までの使用が目安です。地肌がはっきり見えるように分け目を作り、頭皮の部分だけにしっかりと育毛剤を浸透させましょう。

育毛剤の効果を妨げる4つのNG

×髪がぬれた状態で育毛剤をつける

洗髪後、髪や頭皮がぬれていると毛穴に水分がたまってしまい、育毛剤を使用しても奥へと浸透しにくくなります。必ず頭皮の水分をよく拭き取って、乾かした状態で行いましょう。

×分け目をはっきりつけない

育毛剤は頭皮にしっかり浸透させるのがポイント。ですから、分け目を作らずに使用すると、頭皮より髪のほうに多くついてしまって効果が半減します。面倒でもヘアピンなどで髪を固定して、はっきり分け目を作ってから使うようにしましょう。

×コットンに染み込ませて使う

化粧水のようにコットンに染み込ませてパッティングすると、頭皮ではなく髪の毛の部分に育毛剤が多くつくことに。地肌の部分にじかに育毛剤の口を当てて、指の腹でなじませるようにして浸透させてください。

×毛染め直後にも育毛剤をつけている

ご自身の毛染めの特性に留意したうえで、継続的に育毛剤を使いましょう。ヘアマニキュアやヘアカラーの場合、色が安定するまで2~3日は使用を控えます。カラースプレーやヘアマスカラなどの一時染めは、育毛剤をお休みする必要はありません。トリートメントタイプのヘアカラーは、毛染めの頻度が多く、そのたびに使用を中止すると育毛効果が出にくくなるため、休まず毎日使ってください。

知りたい! 育毛剤の心配事Q&A

育毛剤は、一度にたくさん使えば効果はある?

頭皮が育毛剤を吸収できる量には限界があります。したがって、一度に目安量の2倍を使ったとしても、効果が2倍になるということはありません。毎日コツコツ、適量を使用するのが最も効果的な使い方です。

育毛剤の効果がなくなった気がする

人の抜け毛は動物の毛変わり現象の名残りのため、春と秋に多く抜けます。ですから、その時期になると「育毛効果がなくなった」気がするかもしれません。

また、薬剤を繰り返し使用していると、効果が落ちてくることもあります。これまで効いていた育毛剤の効果が薄れたと感じるのであれば、一時的に成分が異なる育毛剤に変更して6ヶ月以上使用し、その後で元の育毛剤に戻す、という方法もあります。

若くないから、育毛剤で改善するか心配

65歳以上で薄くなったのであれば、「老人性脱毛症」だと思われます。更年期以上の女性で脱毛がひどくない(毛のサイズ、毛の量があまり減少していない)場合は、生えやすいです。

また、脱毛症を起こしうる内科的疾患(甲状腺機能異常、鉄欠乏症、亜鉛欠乏症、若い方はこう原病)の血液検査を受けてください。これで異常が見つかれば、その治療が抜け毛の改善につながります。内服薬(高血圧症、高コレステロール血症、糖尿病薬など)もチェックし、脱毛を起こす薬剤を内服していれば他剤に変更してください。

まとめ

スキンケアを怠るとシミやシワが増えるように、髪も正しいお手入れをしなければ、知らず知らずのうちに老化していきます。女性の薄毛は、年齢を重ねても男性より改善しやすい傾向にあります。あきらめずに、根気よくお手入れを続けていきましょう。

育毛専門医 桑名博士
1954年高知県生まれ。名古屋大学医学部卒。医学博士。
シャーレ内での毛包細胞培養に成功後、各種育毛剤を開発する。皮膚科部長を務めた高知赤十字病院時代は日本でも珍しい「育毛外来」を開設。現在は桑名皮フ科院長。日本医学育毛協会理事、日本臨床毛髪学会評議員。