2019.09.18

【博士の育毛診療日誌】過度なヘアケアが招いた髪のダメージ

【博士の育毛診療日誌】過度なヘアケアが招いた髪のダメージ

結節性裂毛症 年齢:38歳 性別:女性 髪型:セミロング

「3カ月ほど前から、右側頭部の髪にフケのような白いものが付着して取れない」。長年皮膚科をやっていますが、Wさんが訴えてこられた髪のトラブルは、あまり前例のないものでした。
よく見ると、Wさんがおっしゃる“白いフケのようなもの”は、髪の根元にはなく毛先の方に集中しています。

さらにマイクロスコープで観察すると、ほうきの先を合わせたような白点が見られ、そこから髪が裂けかかっているところもありました。以上の所見から、結節性裂毛症(けっせつせいれつもうしょう)と診断しました。

原因はパーマやブローなどの物理的外因

結節性裂毛症はパーマや毛染め、ブロー、ブラッシングといった化学的・物理的な外因によって生じる損傷毛の一種です。放っておくと節の部分から毛が裂けて、切れ毛や枝毛ばかりになってしまいます。


Wさんはセミロングで、ドライヤーを使ってのブローもなさっておられるとのこと。症状が右側頭部に集中していたのは、この部分を毎日入念にブローされていたためでしょう。熱で乾燥した髪にブラッシングの刺激を与えることで、髪が著しく損傷してしまったのです。

髪の乾燥を防ぎブローなどを過度に行わないことで予防

一度生じた結節性裂毛症は治療できないため、損傷した髪をカットするしかありません。予防法としては、トリートメント剤を十分に使用して、髪を乾燥させないこと、ブローやブラッシングなどを過度に行わないことです。
トラブルの原因がわかったことで、Wさんもまずは一安心。今までのヘアケアを見直し、再び美しい髪を取り戻されることでしょう。

育毛専門医 桑名博士
1954年高知県生まれ。名古屋大学医学部卒。医学博士。
シャーレ内での毛包細胞培養に成功後、各種育毛剤を開発する。皮膚科部長を務めた高知赤十字病院時代は日本でも珍しい「育毛外来」を開設。現在は桑名皮フ科院長。日本医学育毛協会理事、日本臨床毛髪学会評議員。