2020.09.02

「抜け毛の秋」に備える

「抜け毛の秋」に備える

髪はたえず生えたり抜けたりしながら、一定の毛量を保っています。ただし、秋は他の季節に比べ、抜け毛の量が増えることがわかっています。秋の抜け毛は誰にでも起こる現象であり、お手入れ次第で抜け毛を最小限にとどめることも可能です。髪の生え替わりのしくみを理解したうえで育毛に励み、抜け毛の秋を乗り切りましょう。

誰にでも起こる「秋の抜け毛」

日本人の頭髪は、平均で約10万本あり、毎日50〜70本の髪が生え替わっています。それが秋には少し増えて、1日に100〜200本ほどの髪が抜けます。では、なぜ秋に抜け毛がえるのでしょう。その大きな理由は、動物の毛の生え替わり現象の遺伝子がヒトにも残っているためといわれています。
さらに、夏バテやダイエットによる栄養不足、疲れ、ストレス、紫外線ダメージなどの生活習慣も影響しているものと思われます。つまりどんな人でも、秋になると抜け毛は増えるのです。

 

年齢を重ねると回復が遅れる?

ただし、年齢とともに全頭髪における成長期毛(頭皮の外に出ていて実際に目に見えている髪)の割合が減ってくるため、秋の抜け毛が気になりやすい傾向にあります。

また、40代以降の女性はホルモンバランスの変化により、元の状態に回復しにくいことも。そういう意味では、秋は育毛剤でのお手入れをスタートするのにいい時期といえるでしょう。

 

育毛を怠らないことが重要

抜け毛やボリュームダウンを実感しやすい秋は、育毛の効果が得られにくい時季でもあります。しかし、ここであきらめてしまうと髪の成長に大きな影響を及ぼしかねません。

この時季こそ、朝晩しっかり育毛剤によるケアを行い、頭皮マッサージも欠かさず実践するよう心がけましょう。

頭皮マッサージを欠かさずに!

加齢や乾燥などで硬くなりがちな頭皮をマッサージでやわらかくほぐして、髪が育ちやすい環境を整えましょう。血行も良くなり髪に栄養が行き渡りやすくなります。

ヘアスタイルにも気をつけて!

髪を常にきつく結っていると、毛根に負担がかかるのでゆったり結ぶ。また、髪が長いとブラッシングの際に抜けやすいので、この時期だけでも短い髪型にしてみては。

 

脱毛症による抜け毛に注意!

抜け毛の中には、脱毛症の場合もあるので要注意。「一度に抜ける」「部分的に抜ける」などの症状が見られたら、お手入れを見直したり、皮膚科に相談するなどの対策を講じましょう。

自然な抜け毛と脱毛症の違い

女性型脱毛症

うぶ毛のような髪が抜ける(40歳以降にホルモンバランスの変化によって起こる)

円形脱毛症

大量の抜け毛に、うぶ毛や毛根部が先細った毛が混じっている

薬の副作用による脱毛

抗ガン剤では、髪の成長が急激に阻害され、毛根部が先細った毛が大量に抜ける。それ以外の薬でも抜け毛を生じることがある

※脱毛にはさまざまな種類があります。自己判断に終わらず、専門医の診断を受けましょう。

育毛専門医 桑名博士
1954年高知県生まれ。名古屋大学医学部卒。医学博士。
シャーレ内での毛包細胞培養に成功後、各種育毛剤を開発する。皮膚科部長を務めた高知赤十字病院時代は日本でも珍しい「育毛外来」を開設。現在は桑名皮フ科院長。日本医学育毛協会理事、日本臨床毛髪学会評議員。