2016.09.30

【博士の育毛診療日誌】ヘアスタイルが女性の脱毛の原因に!薄毛の改善方法は?

【博士の育毛診療日誌】ヘアスタイルが女性の脱毛の原因に!薄毛の改善方法は?

髪への長期間の刺激から起こる脱毛

脱毛の原因はヘアスタイル?

Yさんは頭頂部の薄毛を訴え、当院を受診されました。まだお若いYさんは、脱毛の原因と疑われる薬剤を服用していないとのこと。血液検査をしても、脱毛の要因となる甲状腺ホルモン、亜鉛や鉄の異常、膠原病などは見られないという所見でした。

受診時に髪を結んでいたYさんに髪型のことを訊いてみると、数年前から髪を後ろにきつく結ぶヘアスタイルにしているとのこと。そこでマイクロスコープで観察をしたところ、毛髪が軟毛化していることがわかりました。さらに強く引っ張られている頭頂部を中心として、毛髪密度が低下していることも確認できました。

長期間髪の毛をきつく結ぶと、脱毛を招く恐れが

毛髪の軟毛化は、遺伝的なものと考えられます。しかし頭頂部の毛髪密度が低下しているのは、髪をきつく結んで長い間引っ張っていることによって起こる「牽引性脱毛症」と見られます。

髪の毛は、圧迫したり引っ張ったりする力に弱いものです。その状態が長期間続いてしまうと、髪の毛が抜けたり慢性休止期脱毛症になったりする場合もあります。圧迫や引っ張ることをやめれば、脱毛が止まって薄毛が元に戻るでしょう。

先を見据えたヘアスタイルを選ぶことが大切

Yさんへの対処法として、髪の毛をゆるめに結ぶ髪型や、結ぶ必要のないショートカットをすすめたのですが、Yさんご本人はあまり気が進まないようでした。

女性なら特に、髪型の好みやこだわりが多いものです。しかし、この先も髪の毛をきつく結ぶという髪型を続けてしまうと、10年、20年先にはさらに脱毛が進み、元に戻らなくなることも考えられます。

牽引性脱毛症が見られたYさんへは、頭皮と髪の毛に栄養を与える『リリィジュ』を処方しました。ですが、根本的な脱毛の原因であるヘアスタイルを変えない限り、脱毛の改善は難しいと見られます。

まとめ

髪型へのこだわりはあっても良いものですが、10年、20年先も見据えたヘアスタイルを意識してもよいのではないでしょうか。長い目で見て、髪の毛に配慮してみてください。

育毛専門医 桑名博士
1954年高知県生まれ。名古屋大学医学部卒。医学博士。
シャーレ内での毛包細胞培養に成功後、各種育毛剤を開発する。皮膚科部長を務めた高知赤十字病院時代は日本でも珍しい「育毛外来」を開設。現在は桑名皮フ科院長。日本医学育毛協会理事、日本臨床毛髪学会評議員。