2018.09.19

脱毛症はナゼ起こる!?

脱毛症はナゼ起こる!?

毛周期の乱れが、脱毛症を招きます

人の頭髪は約10万本と言われ、毎日50~100本の毛が生え変わっています。そうした髪の生まれ変わりのことを、毛周期(ヘアサイクル)と呼んでいます。正常な毛周期が営まれている頭皮では、成長期毛と休止期毛の割合は一定に保たれており、頭髪の総数も一定です。
しかし、何らかの原因で毛周期が乱れると、成長期が短くなったり、休止期が長くなるなどしてしだいに休止期毛の割合が多くなり、毛が少なくなります。それと同時に、新しく生まれてきたうぶ毛が、大きくなる前に抜け落ちてしまうため、毛のサイズが小さくなってしまいます。このような状態を「脱毛症」と言います。

脱毛症にはいろいろなタイプがあります。

でも、毛周期を乱す原因とはなんでしょう。それは脱毛症のタイプによって違います。例えば、女性型脱毛症は、老化、ストレス、極端なダイエットなどが主な原因です。老化によって血管が硬くなったり細くなったりすると、髪に十分な栄養が運ばれなくなります。また、ストレスや極端なダイエットは体そのものを栄養不足にしてしまうので、当然髪にも栄養が行き渡らなくなります。その結果、髪の成長がストップしてしまうのです。
一方、男性型脱毛症は、男性ホルモンの影響によるものが大きいと言われています。血管を通して運ばれてきた男性ホルモンが、毛球部に付着すると、毛をダメにしてしまうだけでなく、皮脂の分泌が促進され、毛の発育が妨げられます。
また、毛が突然抜け落ちてしまう円形脱毛症は、免疫異常(アレルギー)や精神的なストレスによって、頭皮や毛髪が炎症を起こすためです。ちなみに女性型脱毛や男性型脱毛と違い、その90%は放置していても自然治癒すると言われています。

薄毛は遺伝するってホント!?

正確に言えば、遺伝するのは薄毛ではなく前頭部の毛は男性ホルモンの影響を受けやすいという「毛の体質」です。この体質が男性には遺伝しやすく女性には遺伝しにくいと言われています。ちなみに、男性ホルモンの血中濃度は、薄毛の人もそうでない人もほとんど同じ。薄毛だからといって男性ホルモンが多いわけではありません。

Q 頭頂部の薄毛が目立ってきました。一体、何が原因?

A 加齢ととうもに頭皮は固くなりますが、とくに頭頂部の皮膚は弾力が低下することと、分け目やつむじなどがあり外部の刺激を受けやすいため、薄毛になりやすいのです。

Q 抜け毛に産毛が混じっていますが、大丈夫でしょうか。

A 休止期のあとに生えたうぶ毛が、栄養不足によって成長できないまま休止期を迎えたために、抜け落ちたものだと思われます。また、栄養不足のうぶ毛に、マッサージやブラッシング等の刺激が加わって抜けていることも考えられます。産毛が生えている部分は、マッサージやブラッシングは控えた方がいいでしょう。

育毛専門医 桑名博士
1954年高知県生まれ。名古屋大学医学部卒。医学博士。
シャーレ内での毛包細胞培養に成功後、各種育毛剤を開発する。皮膚科部長を務めた高知赤十字病院時代は日本でも珍しい「育毛外来」を開設。現在は桑名皮フ科院長。日本医学育毛協会理事、日本臨床毛髪学会評議員。