2021.01.06

ヘアケアの基本と落とし穴

ヘアケアの基本と落とし穴

年が明け新たな気持ちでヘアケアに取り組む方も多いのではないでしょうか。今後もおうちでのヘアケア時間が重要になってきます。そこで、今一度髪の毛やヘアケアの基本を確認し、間違ったヘアケアをしていないかチェックと見直しをしていきましょう。

髪の毛の基本をおさらい

髪は、髪の毛の根っこにある毛母細胞で作られ、皮膚の外に伸びていきます。髪は1日平均0.3mm、1ヶ月で約1cm伸びて、寿命は6年ほどと言われています(毛周期)。毛周期から考えると、1日数10本~200本の頭の髪の毛が自然に抜け落ちることになります。

 

髪の性質

きれいでツヤのある髪にはキューティクル(毛小皮)を保つケアが大切といえます。髪にはいくつかの物理的性質があり、それらを把握したうえで正しいケアを行うことが大切といえます。

①水分吸収性:乾燥した髪の重量の40%の水分を吸着して膨張します。

②弾力性:湿った毛を引っ張ると30%余り伸びることができます。

この①と②の性質を利用して、髪を濡らした後にドライヤーで少しずつ乾かしながらブラッシングをすることで、きれいに伸ばした髪型を作ることができます。紫外線などで髪の弾力性は低下し、切れやすくなるため、ヘアケアには紫外線対策も重要です。

③溶解性:パーマ液などに含まれるチオグリコール酸により髪のたんぱく成分が変性します。

④流動性:髪の流れに逆らって無理やり引っ張ったり髪が交差したりすると、髪同士が絡まってダメージを受けやすくなります。

 

 

ヘアケアの落とし穴

間違ったヘアケアにより、髪や頭皮にトラブルを生じる例が多くあります。以下のヘアケアは頭皮と髪質を悪化させる原因となるため、見直しましょう。

〇シャンプー剤を直接頭皮や髪につけて、髪の上で泡立てている。

〇コンディショナーやトリートメントを髪の根本から毛先までたっぷりなじませて、しばらく時間をおいてからすすぐ

〇髪を傷めたくないので、ドライヤーは使わずに自然乾燥

〇シャンプーした後、髪にタオルを巻き、数時間後に乾かす

〇フケを爪でこすりとっている

いかがでしたでしょうか?当てはまる方、肌にトラブルや肌が弱い方は特に、ヘアケアを以下の方法に改善していきましょう。

 

シャンプー

①シャンプー前にブラッシングと予洗いを…シャンプー前にブラッシングして髪のもつれをほどきながら、髪についてるほこりや汚れを落とします。次に予洗いです。39~40℃くらいのぬるめのシャワーがおすすめです。頭皮から毛先まで丁寧に洗い流します。

②シャンプー…シャンプー剤を適量掌にとり、両手で泡立てます。その泡を頭皮全体にのせてから洗い始めます。指の腹を使って指先を細かく動かしながらやさしく洗います。

③すすぎ…シャワーの温度は予洗いのときと同じ39~40℃がおすすめです。髪の生え際や耳の後、あごの下、首筋などは泡が残りやすいため、とくに念入りにすすぐようにします。

 

 

コンディショナー・トリートメント

コンディショナーやトリートメントは髪をコーティングしてまとまりやすくする、髪内部のダメージを補修するなど、髪そのもののケアを目的にしているのが主体です。配合されている成分が頭皮にとっては負担になったり、毛穴を詰まらせる原因になる可能性があるため、頭皮にはつけず髪にのみ使用します。

使い方のポイント

コンディショナーやトリートメントは適量を手のひらにとり、傷みやすい髪の中間から毛先にかけてなじませます。髪の生え際や耳の後ろなどもシャンプー同様しっかりすすぎぬるぬる感が残っていないかどうか確認しましょう。

 

 

頭皮と髪を乾かす

まずはタオルドライです。髪を軽く絞って、ある程度水気をきってから、乾いたタオルで頭皮や髪の水分をそっと吸収させます。素材は肌当たりのより柔らかいものが良いです。髪同士を摩擦させないように、タオルの間に髪をはさんでやさいく抑えるように拭き取るのがポイントです。

次にドライヤーで仕上げましょう。髪からほとんど水分が出なくなったら、まず頭頂部から温風を当てて、頭皮をしっかり乾かします。その後は髪の根本から毛先に向かって乾かしていきます。髪が全体的に乾いたら、最後に冷風を当てます。これで髪の表面のキューティクルがひきしまり、ツヤやまとまりやすさがアップします。

育毛専門医 桑名博士
1954年高知県生まれ。名古屋大学医学部卒。医学博士。
シャーレ内での毛包細胞培養に成功後、各種育毛剤を開発する。皮膚科部長を務めた高知赤十字病院時代は日本でも珍しい「育毛外来」を開設。現在は桑名皮フ科院長。日本医学育毛協会理事、日本臨床毛髪学会評議員。