2019.05.29

【博士の育毛診療日誌】パーマとヘアアイロンによる髪の損傷

【博士の育毛診療日誌】パーマとヘアアイロンによる髪の損傷

おしゃれ障害  年齢:47歳  性別:女性

「右側頭部の髪が薄くなっているのに今朝気づいたんですが、脱毛症なのでしょうか」
Yさんはそう訴えて来られました。一見すると、それほど顕著な脱毛には見えません。何か最近、変わったことをされましたか?とお尋ねしたところ、一週間前に縮毛矯正のためのストレートパーマをかけたばかりで、家ではヘアアイロンを使っておられるとのことです。
さっそくマイクロスコープで毛髪の状態を見てみると、根元付近が折れ曲がった毛髪が多く見られました。

さらに毛髪を拡大してみたところ、折れ曲がった部分に裂け目ができていて、どうもそこから毛髪がちぎれているようです。
このようなダメージは、人為的なものとしか考えられません。縮毛をまっすぐにするストレートパーマの強い薬剤で髪がダメージを受けたところに、ヘアアイロンによる引っ張りが加わって損傷を招いたのでしょう。切れ毛が増えたことによるボリュームダウンが、「薄くなった」印象につながったと思われます。
皮膚科の分野では、パーマやヘアアイロン、毛染めなどによる髪や肌のトラブルを「おしゃれ障害」と呼んでいます。おしゃれも結構ですが、やりすぎると大きなダメージになることも忘れてはいけません。
Yさんには、ヘアアイロンの使用を中止し、自然に回復するのを待つようアドバイスいたしました。脱毛ではありませんので、そのうち再びきれいな髪が育ってくるものと思います。

育毛専門医 桑名博士
1954年高知県生まれ。名古屋大学医学部卒。医学博士。
シャーレ内での毛包細胞培養に成功後、各種育毛剤を開発する。皮膚科部長を務めた高知赤十字病院時代は日本でも珍しい「育毛外来」を開設。現在は桑名皮フ科院長。日本医学育毛協会理事、日本臨床毛髪学会評議員。