2017.03.05

【女性のための育毛講座】育毛剤、男性用と女性用の違い

【女性のための育毛講座】育毛剤、男性用と女性用の違い

通信販売や薬局など手軽に購入できるようになった育毛剤。最近は女性用も増えてきました。
どこを基準に選べばよいのでしょうか。

■女性の脱毛は老化や生活習慣、男性は遺伝の影響が大きい

男性も女性も、脱毛の大きな原因は遺伝と生活習慣(環境)にあります。特に男性の場合は、女性よりも遺伝の影響が大きいようです。遺伝子の中には、「男性ホルモンを強く働かせて、脱毛を引き起こす」という作用があります。男性の場合、女性よりも男性ホルモンの量が多いため、当然その影響を大きく受けることになります。
男性型脱毛症は、前頭部から髪が薄くなるケースと頭頂部から薄くなるケースがほとんどです。前頭部の薄毛は男性ホルモンの影響、頭頂部の薄毛は老化や生活習慣の要素が強いと考えられます。これに対して女性は、頭頂部を中心に全体的に頭髪が薄くなることが多く、主に老化や生活習慣の乱れによる毛根への栄養不足が原因と思われます。

■女性と男性の脱毛の違い

女性型脱毛症

老化、ストレス、過度のヘアケア、ダイエットなどにより3本ある毛が1本ずつ細くなり、次第にひょろひょろした毛が多くなります。

男性型脱毛症

毛根部の細胞が男性ホルモンに弱いという遺伝的要因が大きく、生えている3本の毛が、3本とも同時に細くなるのが特徴です。

■男性用と女性用では育毛剤の成分にも違いが必要

育毛剤には、脱毛の原因に働きかけるいくつかの成分が配合されています。一般に、男性用育毛剤と名のつくものには、男性ホルモンを抑制する成分を中心に、栄養剤的作用を持つ成分や血流改善作用を持つ成分が含まれています。
よく「男性用育毛剤は女性にも効果があるの?」と聞かれますが、答えは△といったところでしょうか。脱毛症は男女とも、遺伝しやすい体質と生活習慣の相乗作用によって毛を作る細胞が弱ることから起こるので、この弱った細胞を元気にする(栄養剤的作用、血流改善作用)という点では、「男性用」をうたっている育毛剤でも、女性に効果が無いわけではありません。
しかし、男性ホルモンが少ない女性の場合、男性ホルモンを抑制する成分よりも、それ以外の原因(老化による栄養不足や乾燥)に作用する成分が多く含まれている方が効果は高いといえます。

髪のトラブル110番

Q. 紫外線を浴びると髪はどうなるの?

紫外線を浴びると、髪内部のタンパク質構造が崩れ、キューティクルがはがれやすくなります。するとその間から水分が蒸発していき、髪がパサつきます。
特に気をつけたいのが、海でのレジャーです。紫外線と潮風が相まって髪に必要な水分や脂分を奪うため、想像以上に髪が傷んでしまいます。髪が疲れていると感じたら、ヘアトリートメントでしっかりとケアしましょう。

Q. 夏になると頭皮がかゆくなるのはなぜ?

汗やあせも、皮脂の分泌増加、紫外線など、夏独特の悪要因で、髪や頭皮が傷み、かゆみが出る可能性があります。
かゆみがある場合は、育毛剤を少しお休みして、頭皮の状態を見ながら少しずつお使いください。

育毛専門医 桑名博士
1954年高知県生まれ。名古屋大学医学部卒。医学博士。
シャーレ内での毛包細胞培養に成功後、各種育毛剤を開発する。皮膚科部長を務めた高知赤十字病院時代は日本でも珍しい「育毛外来」を開設。現在は桑名皮フ科院長。日本医学育毛協会理事、日本臨床毛髪学会評議員。